BioXについて

委員長ご挨拶

バイオメトリクスは、当初、パターン認識の応用として研究開発がなされていました。この 10 年ほどは、セキュリティ用途の開発へのニーズが高まったこともあり、バックグラウンドがパターン認識、メディア情報処理の分野であった研究者に加え、情報セキュリティ、物理セキュリティの分野の研究者も広くバイオメトリクスの分野に参入し、研究を支えています。バイオメトリクスは、デバイス、センサ、アルゴリズム、実装、データベース、ネットワーク、システム構築、サービスを含む広範囲にわたる技術領域に関係しています。さらには、まさに対象が人間であることと実社会での活用が進んでいることから、社会科学的な諸課題とも密接に関係しています。このように境界領域を含む大きな分野としてバイオメトリクスの研究を推進していくことが望ましいと考えられます。

我が国の学会においては、パターン認識系やメディア情報処理系の諸研究会でバイオメトリクスが古くから扱われてきました。また、平成 15 年度より平成 22 年度まで活動したバイオメトリックシステムセキュリティ研究会「BS 研」(通信ソサイエティの時限研究専門委員会、設置当時はユビキタスネットワークを支えるバイオメトリクスという文脈で通信ソサエティに設置された)においても活発な討論がなされました。一方で、様々な研究分野において、バイオメトリクスに関心をもつ方々や実際に研究をしている方々は相当数にのぼると見込まれますが、必ずしもお互いに顔が見えていない状況にあるのではないか、近年設立された中心テーマをバイオメトリクスとする複数の国際会議等における我が国の存在感が我が国のバイオメトリクス産業の技術力と比してややバランスを欠くところがあるように見受けられるのではないか、という意見もあるのが事実です。また、次世代のバイオメトリクスを支える優れた人たちの層を厚くしていくためには、切磋琢磨の機会の増加が期待されます。加えて、クラウドコンピューティング、スマートフォン等をベースとする情報システムの在り方にマッチした優れた認証技術へのニーズや、最近我が国においても訪日者年間 2500 万人を見据えた空港等での入出国審査のための自動化ゲート利用の抜本的見直しの機運など、解決すべき魅力的かつチャレンジングな課題群が続々と出現するという好機にも恵まれています。このように、バイオメトリクスに関する全ての領域の研究者・技術者・利用者が一堂に会し、交流、情報交換、相互啓発を行う場を広げていくことの必要性が国内で共有されています。多様な分野とリエゾンをとりやすい、基礎・境界ソサイエティにバイオメトリクス研究会を設置いたしました。

BioX研の研究トピックス

バイオメトリクスおよび関連する認証技術等の全般

デバイス、センサ、アルゴリズム、メディア処理、パターン認識、セキュリティ、ソフトウェア・ハードウェア実装、精度評価、性能評価、データベース、ネットワーク、システム構築・運用、サービスを含む広範囲にわたる技術領域、プライバシー、社会実装をはじめとする社会科学的な諸課題など

BioX研究会のこれまでとこれから

2021年3月に開催した研究会にて、当時の委員長である大塚先生がご講演された講演資料になります。これまでの研究会の活動を当時の幹事団にてまとめた資料となっています。BioX研の活動について知りたい方は参考になさってください。